渡邉美穂が卒業する。
卒業が発表されたとき、誰もが「早すぎる」と思っただろう。
僕も東京ドームを区切りに誰かが卒業するかもとは思っていたけれど、まさか美穂が、と思った。まだ若いし、2期生だし、ポジションに対して熱い想いを持っている子でもあった。
けれど、美穂の過去の映像やインタビューを見返すと、このタイミングでの卒業に納得してしまった。
本人曰く性格上は「安定が一番」だが、彼女の根幹は常に全力であることだ。どの仕事に対しても一切手を抜かない。彼女自身初期から目標として掲げているし、誰の目から見てもそう評価されるだろう。
だからこそ、前に進まないわけにはいかないのである。自分の夢へ進むためには、ここに留まってはいられない。ここにいれば、全力を注ぐことが出来ない。
彼女はいつも一歩先を歩いていて、その眼はさらに先を見ている。
東京ドームというアイドルとしてグループとしての夢を叶えたこのタイミングで、自分の夢へとシフトしていく。彼女のことを知ると、卒業は必然であったと感じた。
全力であるからこそ、弱さもうかがえる。力を出さなければ弱さは見えない。
彼女の弱さは、強さなのだと思う。
強さと弱さの共存が、彼女の人間的な魅力を生んでいる。
美穂のことでずっと忘れられないことがある。
2018年のひらがなくります最終日の「ノックをするな!」。
その演出に、暗転の中スポットライトが当たった子だけ踊るシーンがある。
ステージに近い席にいた僕はライトが当たっていない子も結構見えていた。
美穂は出っぱなしのセトリで、さらにノックの最中ステージの階段を昇り降りしていた。
明らかにフラフラしていてキツそうだった。
しかしライトが当たった瞬間目の色を変え、誰にも負けないくらいバキバキに踊ったのだ。
その時美穂の根幹を知ったのだと思う。
そして卒業発表後のインタビューで「常に全力だったことが自慢」と語っていて、がなくりの美穂と今がつながり、最初から最後まで全力を貫いた美穂を心からかっこいいと思ったし、強い人だと思った。
美穂はいつも笑顔で明るいイメージがある。
卒業セレモニーの時、美穂は今までで一番輝いていて、最高の笑顔を見せてくれた。
その眼に確かに映っていたであろうメンバーの顔。おひさまの顔。
美穂だけじゃない、みんなが最高の笑顔で彼女を見ていた。セレモニーを見届けたあなたも、きっと涙を流しながら笑っていたのではないだろうか。
彼女の笑顔は周りも巻き込む。
それがどんどん広がって、グループを、おひさまを包み込む。
その暖かさに一体どれだけの人が救われただろうか。
彼女はグループを去るけれど、彼女の残したものは計り知れない。
全力であるということ。笑顔でいるということ。
陽だまりの跡は、確かに暖かさを残している。
渡邉美穂さん、卒業おめでとうございます。
5年間ありがとうございました。
大好きです。これまでも、これからも。
またどこかで!